アルティメット継承者プロジェクトとは、イングリス各地で発見されている先覚者の技術や装備、または特殊なアルケー遺伝子を現役継承者の特性に合わせて改良し、適用する計画である。究極の目標は、すべての継承者を人類の先代、先覚者の姿に強化すること。

今も機密情報として扱われるが、実はブレアが「不屈の騎士」の最初の対象者として選ばれていたことは、知る人ぞ知る秘密だ。「不屈の騎士」がレピックの特性に一番適しているという最終研究の結果ももちろん影響しているが、ブレアが最初のプロジェクトから外された決定的な原因は、やる気のない彼の態度だった。継承者になって以降も、彼は作戦の時を除けば、いつも兵士たちのために新レシピの開発や極超低温の食材倉庫の探索に明け暮れていた。

ブレアは親友のレピックがアルティメット継承者になっても、相変わらず興味を示さなかった。彼には高性能の強化服より、イングルクッキーの生産量を増やすレシピの方が重要だったのだ。しかし、「無欲は神の恩恵を引き寄せ、貪欲は風と共に去りぬ」というイングリスの古い格言のように、その日は運命のように訪れた。

「継承者は副業」という些か不名誉な表現で囁かれていたブレアが、未知の先覚者の装備の主として現れたことは、皆にとって衝撃的な事件だった。マジスターたちは研究のためにブレアにスーツを脱いでほしいと言ったが、それをアナイスが阻止した。

『気持ちは分かるけど、しばらくそっとしておきましょう。とりあえず、先に名前だけ決めた方がいいわね。コードネームは…紅炎なんてどうかしら』

いつも事務的でつれないアナイスが自分のためにマジスターたちを阻止する姿を見て、ブレアは彼女も自分と同じことを考えているのではないかと思った。研究熱心なマジスターの研修員たちの抗議が続く中、彼の目に入ったほんの一瞬の微笑みは、彼の予感を確信に変えさせる。始まりは偶然かもしれないが、実はすべて運命だということを。

ブレア・ロドリス。彼はもう誰よりも熱く、火花を散らす戦いを料理する準備ができている。

この先覚者装備は、マジスターたちによって復元されたものではなく、長い間遺物として隠されていたオリジナルそのものであり、非常に高い研究価値を持っている。先覚者装備の研究分野で第一人者とされるアナイスのデータベースにも、この強化服に関する情報は一切存在しない。一部のマジスターは、この強化服を熱のアルケーが具現化した装備だと推測している。しかし、アナイスが最近明らかにしたのは、この装備には先覚者たちが設計した精巧な防御コードが組み込まれているという事実だ。そして、その意図通り、この防御コードを突破できるのはこの装備を上回る火力アルケーを持つ継承者だけだという。

「コードネーム？紅炎？でっかい鉄板ってことでいいだろ？これで全部、こんがり焼き尽くしてやるぜ」
- ブレア・ロドリス